結局「マーフィーの法則」は科学的に証明できるかどうか。たぶん、できる。ちゃんとやれば。
だいたい、次のようなことを考慮して実験すればいいんだと思う。仮説は「忙しいときに限ってトラブルは重なる」をちょっと表現を変えて「忙しいときにトラブル発生は有意に増える」としてみよう。忙しさを定量化する必要がある。また、トラブルも定量化しないといけない。トラブルは回数と深刻度を考えないといけない。もちろんその積をとってもいいし、簡略化して回数だけで考えても有効な結果が得られる気がするが、前者のほうが厳密な気はする。
・まず仮説が偽であるならば、それはどういう場合か。トラブルが偶然だとするならば、偶然はランダムだから集まることもある。集まって生じるのはただの偶然であって意味などない。(※もし事象が等間隔に起こるならば、それはとうていランダムではなく、明らかに規則性を持っており、偶然ではないはずだ)
→そもそも「重なっているかどうか」を調べないといけない。これは「忙しくないとき」と「忙しいとき」で比較すればわかる。ごく初歩的な検定だと思う。間隔については、間隔の度数分布を見るとか、自己相関やフーリエ解析を見るとか、いろいろありそうだが、たぶん初歩的な手法(最初にあげたやつ)でいいと思う。
・もし仮説が偽ならば、なぜ「忙しいときに限って」と感じるかという理由を説明したい。これは人間の認知メカニズムがおかしいからではないか。利用可能性ヒューリスティクス (availability heuristic) や錯誤相関(英: Illusory correlation)というやつではないか。
→これを検証するには、例えば「忙しいときに短い間隔で連続して生じたトラブルほどよく記憶している」という傾向があるんじゃないかといった仮説を調べる。
・あるいは、最初の仮説が真で、実際に「忙しいときに限ってトラブルは重なる」のだとすれば、それはなぜか。実際に因果関係がある可能性を考えたい。「忙しさ」と「ミス」には因果関係があり、忙しいとミスしやすくなるので、忙しいときにトラブルが起こりやすい、という仮説を立ててみよう。
→ただ、「ミスが多いから忙しくなる(自分で仕事を増やす)」という面もある。だから「ミス」と「忙しさ」のどちらが「原因」なのかを見極める理論がさらに必要だ・・・。めんどくさい・・・。とりあえず、当初の目的であった「忙しいときに限ってトラブルは重なる」が、かりに「ミスが多いときに限って忙しくなり、そういうときはトラブルが重なる」だったとしても、それは本論ではないので、ともかく「忙しいときに限ってトラブルは重なる」が真か偽かわかればいい。
ということで、これではっきり結論は出せると思う。なお、そもそも母集団をどうするか、というのがむしろ大事だったりする。こういう、なんとなく「法則」のごとく語られるものについては、じつは発祥の地(時代、業界etc)においては実際に真だったかもしれず、それが流布するうちに前提条件が一致しない地においても乱用される、といったこともありえるわけで。
案外いちばん大事なのは「忙しいときに限ってトラブルは重なる」という言説の歴史を調べるという歴史学的アプローチだったりするかも。