行動経済学によると、人間は合理性からほど遠い生き物だ。
何かを得たことが悩みを増やしていくって逆説は、最近僕もずっと引っかかっているんだよな。情報学部に勤めている以上、今後の情報社会に対する姿勢の取り方として、その辺の問題を考えないではいられない。
情報が増えるほど人間は幸せになる、とは限らない。むしろ逆である、と行動経済学は教えている。(※これは「情報が減るほど人間は幸せになる」や「情報が増えるほど人間は不幸になる」を意味するわけでもない。要するに単純ではない)
例えば「決定回避の法則」。人は選択肢が増えるほど合理的に意志決定でき、幸せな結果につながるだろうと思うが、実際には選択肢が増えることで何も選べなくなる。
ここから生まれる問い。「大量の情報を効率よく提示する」という情報デザインは、本当に人間の幸せにつながっているのか?
家電を買うとき、すべての人が価格.comやAmazon.comのユーザーレビューを見ているか? そうではない。ネットユーザであっても、ヨドバシカメラに行って店員のオススメを買う客も多い。私がそうだ。多すぎる選択肢に悩むくらいなら、専門家の言うとおりに買う。
「より多くの選択肢」は「より幸せな決断」につながらない。
情報デザインの目的を「利用者の幸せにつながる情報提示」とするならば、提示すべき情報が限られていた時代には「より大量の情報を、より効率的に提示すること」でよかったが、情報が多すぎる現代においては「どの情報を提示し、どれを隠すか」のほうが大事になってきた。
行動をアフォードするデザインに対して、意志決定をアフォードするデザイン。人間は情報が多すぎると決定できなくなる、というのは一例に過ぎない。非合理的な人間についての理解に基づき、デザイナにはどういう提案が可能だろうか。21世紀の情報デザイナには脳科学・行動経済学の知見が役立つはずだ。
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我々は、さしあたり生活に必要なものは「無印良品」ですべて揃ってしまうような、物の過剰な世の中で、何を選んでいいのか分からなくなっている。
経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
※ぜひともデザイナに読んで貰いたい一冊