平均への回帰と無作為性
リスク〈上〉—神々への反逆 (日経ビジネス人文庫) ピーター バーンスタイン
P.284-285
ゴールトンの主要な伝記作家でありまた傑出した数学者でもあるカール・ピアソン(Karl Pearson)によれば、ゴールトンが引き起こしたのは「われわれが持つ科学的概念における革命であり、これにより科学、ひいては人生そのものに対しての観点が修正された」。ピアソンの言葉は大げさではない。実際、平均への回帰は驚愕に値する。ゴールトンは確率の概念を、無作為性と大数の法則を基礎とした静学的概念から、動学的過程へと変換し、そこでは異常値とされるものの後継者は中心に集まる大勢に加わることが運命づけられている。外側の境界線から中心に向かう変化と動きは不断で、不可避であり、また予測可能である。この過程が回避不能であるとすれば、結果は正規分布以外にありえない。推進力は常に平均へ、標準の再生へ、ケトレーのいうところの平均的人間(homme moyen)へと向かっているのだ。
平均への回帰により、危険を冒すことと予測を行うことに関するほぼすべての形態が動機づけられる。それが、「上がるものは必ず下がる」、「盛者必衰」、あるいは「一族の栄華も三代まで」などの格言の根底にある事実なのだ。(略)また、いわゆる逆張りの投資家が敬意を払う信条でもある。ある銘柄が「過大評価」あるいは「過小評価」されていると彼らが言う場合には、不安や貪欲さによって大衆がその株価を、確実に戻るはずの本質的価値から引き離してしまっていることを意味する。
「乱数は乱数であるがゆえに、集まることがある」
「そして、集まることは単に偶然であって意味はない」
N・N・タレブ「まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」 - 日々平安録
本書は2005年に書かれた第二版の訳であるが、「資産市場では史上最大の上昇相場が続き、資産価値は過去20年間で天文学的な上がり方をした。・・年金基金や保険会社は「長期で見れば、株式はいつも9%のリターンを出す」という主張を信じている。統計データの裏づけまで出してくる。統計は正しいだろうけど、過去の出来事だ」とある。アメリカが永遠の成長を続けているかのように信じられていた時代に書かれている。


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