Terminal: 殺さない医療
「生きる」とは無条件に価値あることだろうか?
すべての人間の死に、誰かが「責任」を負わなければならない世の中って、あまりに不幸じゃないか?
via はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):産科医に無罪判決 帝王切開での女性死亡事故 福島地裁 - 社会
『希望の国のエクソダス』取材ノート 村上龍著
※注:村山(村山正司)、村上(村上龍)
村山 まあ、点滴までは、正当な医療行為かもしれません。ところが、老人医療には鼻から胃に管で直接栄養液を流す鼻腔栄養とか、中心静脈栄養(IVH)といって肩の静脈から高濃度の栄養液を注ぎ込む治療があります。これで寝たきりになっても命を永らえている老人が、日本には数多くいるんです。実はこれらは、もともと癌患者のための治療法だったといわれています。胃とか腸を切り取って、腸管から栄養が摂取できなくなった人のための治療法なんですね。 p.189
村山 日本の医療は「殺さない医療」なんですね。本来癌患者に使うようなありとあらゆる医療を動員して、死なせない。そもそも寝たきりが多くなったのは、昔のように脳卒中では死ななくなったからと言われています。外科手術の方法が進歩したんですね。誤解を恐れずに言えば、老人の医療費が高くなるのは「殺さない医療」だからという側面が大きい。
村上 いちばんごまかしているのはそこだと思うんですよ。たとえば、精神病院が立ち行かなくなって老人専門病院になるとか、老人にものすごい高度医療を行うのは、結局、お金になると思うからみんなやってるわけでしょう。それを言説では、さもヒューマニズムのように言うからずれが生じるんですよ。「お金になるから、やるんです」って、はっきり言ってくれれば、行かなくなりますよ。 p.190-191

