Amedeo Clemente Modigliani: 美の再発見

このエントリーを含むはてなブックマーク June 7th, 2008 | posted in critique, art |

国立新美術館 モディリアーニ展 “Modigliani et le Primitivisme”

素晴らしかった。その感動を忘れぬうちに文章にしておく。

貧しい生活のなか、いまだ得られぬ独創性を模索しつつ、焦燥感・鬱憤・不安をぶつけたかのような陰惨な絵を書く若者。

彼は原始美術と彫刻という二つの美のかたちに出会う。彼の求める美の手がかりがそこにあった。カリアティッド(古代ギリシャ建築の梁を支える女性像の柱)の手法をものにし、理想の美のかたちを手に入れた彼は、友人・知人・隣人というモチーフを自らの美の型にはめて描くことで、普遍的な美のかたちと、モチーフの個性という二つの要素を同時にキャンバス上に出現させることに成功した。

何よりも心打たれたのは、何枚ものカリアティッド。いちど掴んだ手掛かりを死んでも放すまいと、執拗に執拗に、何度も何度も彫刻しては絵を描く、その無限の繰り返し。おそらく肺を病む彼の死期を早めたであろうその粉塵は、しかし彼の血肉となり、キャンバス上に彼にしか見えない究極の美の曲線を見いだすに至らしめたに違いない。

35にして生涯を終えた彼は晩年に妻(ジャンヌ・エビュテルヌ)を描いている。その絵からは、彼の目を通して妻の神々しいまでの美しさが、彼の筆を通して妻への溢れる愛が伝わってくる。

彼が死を予感していたのか知る由も無いが、彼の絵はまるで死を迎える準備を済ませた人や、悟りを得た宗教家にしか実感しえないような、世界そのものが光を放って見えるという世界観を表現しているようだ。三十路そこらでその境地に至った彼に感動した。

独創とは生み出すものでも、手に入れるものでもない。自らの内に見いだすものだ。彼の歩みはそう教えている。

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カリアティッドとは本来、古代ギリシャの神殿建築で梁を支えている女性を象った柱のこと。アテネのアクロポリスにあるエレクティオンの人柱像が有名だ。この時代、まだ彫刻家を目指していたモディリアーニは、カリアティッドと題した石の女性像を多数つくり、ゆくゆくは「逸楽の神殿」を造ることを夢みていたという。そのために、たくさんのカリアティッドの下絵を描き、実際に彫刻を手がけている。彫刻はわずか2点しか現存しないが、下絵の素描は数多く残った。モディリアーニ作品では、こうした彫刻やその下絵の素描を「カリアティッド」と呼ぶ。

via: 【レポート】知られざる原点から代表作までモディリアーニの全容を一望 - 国立新美術館 (3) カリアティッドを通して追求した完璧な美 | ライフ | マイコミジャーナル

モディリアーニ研究の第一人者として知られるレステリーニさんは、こう説明する。「カリアティッドは、モディリアーニがアフリカ、オセアニアなどの原始美術に触れて、人間の形を根本から再構築しようとした探求の跡です。その後の彼の絵はこの延長線上にあります」

via: asahi.com:「長い首の疑問 解決します」 モディリアーニ展 - 文化一般 - 文化・芸能

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