Paradox: 率直

このエントリーを含むはてなブックマーク June 5th, 2008 | posted in literature, quote |

小林秀雄は言う。「逆説とは弄するものではない、生れるものだ。動いている現実を動いているがままに誠実に辿る分析家の率直な表現である」

意地悪くものを見て意地悪く表現するより、率直にものを見て率直に表現するほうが遥かに難しいが、率直にものを見て必然的にその表現が逆説的になるということには、もっと大きな困難がある。例えば「心の貧しきものは幸いなリ」というキリストの言葉は、驚く可き率直が、極端な逆説となって現れた典型であり、又真の逆説の困難を語るお手本みたいなものだ。
(逆説というものについて)

真の逆説の源には、つねに烈しい率直な観察がなければならぬ、割り切れない現実を直覚する鋭敏な知性がなければならぬ。逆説とは弄するものではない、生れるものだ。動いている現実を動いているがままに誠実に辿る分析家の率直な表現である。
(逆説というものについて)

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