Productivity of Japanese IT Industry: 国家間の産業比較
えらい役人さんのいうことだから間違いないんだろうけど、素朴な疑問がある。
「日本の情報サービス業の収益性はインドよりも低い。受託開発中心の体質と多重下請け構造が要因」—経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課長 八尋俊英氏はIPAX2008の講演でこのような認識を示した。
言いたいことはわかるんだけど、ちがう解釈を提示してみる。
■「インドのIT業界は収益性が高い」ことの要因
日本に対してインドのIT業界の収益性が高いのは、インドのIT業界が優れているからではない。「市場が未成熟で競争がはげしくない」のと、「成長中の経済でIT産業の利益率は高くなる」のが原因だ。
1.市場が未成熟なので競争がはげしくない
インドは市場が未成熟だから、一部の先行企業が競争に巻き込まれず高い収益性を実現しているだけである。
2.成長中の経済でIT産業の利益率は高くなる
ITは産業の基盤である。国自体(全産業)が伸びている高度成長中の国にあっては、IT産業への需要は急増する。利益率は高くなる。
八尋氏の説と、ここでの説、どっちが妥当だろう? だれか解説してくれ。


2 Responses to “Productivity of Japanese IT Industry: 国家間の産業比較”
By x on Jun 1, 2008 | Reply
インドの大手はアメリカや日本等の先進国からシステム開発案件を受託しまくっていますよ。全世界的な活躍をしているという意味で日本より上だし、より賃金水準の高い海外から仕事を受託することで、ある程度の利益率を確保できている、ということかもしれませんね。
By hidetox on Jun 2, 2008 | Reply
ありがとうございます。おっしゃる意図はわかります。
ですが、このブログでは、徹底して相関と因果の混同に慎重なスタンスをとっております。
「賃金水準の高い海外から仕事を受注しまくっている」というのを「優秀さ」の要因とするのは、一見同意できるのですが、よくよく考えると、むしろ根本の原因は「物価の安さ」ではないかと思えるのです。
先進国と遜色ない水準のサービスを提供しつつ、少し安い。その安さ以上に物価(原価・固定費)が安い。だから「売上高営業利益率=(売上高-売上原価-固定費)÷売上高」を「収益性」と呼んだときに「収益性が高い」となるわけです。
これはよいとして、問題は、その「売上原価および固定費の安さ」はどこからきているのか?
おもうに、分母に費用(人件費を含む)をとったら、そりゃ物価の安い国家は良い数字が出ます。
すべては「物価が安い」ことに起因する「収益性の高さ」ではないか、と思われるのです。
つまり、インドの「競争力」と呼ばれているものは、じつは、アービトラージ(裁定取引)を可能にする「格差」ではないでしょうか。
いずれインド経済が先進国と並んだときに、その優位性(つまり格差)が失われてしまうのではないか。そのときはじめてインドの「地力」といったものが問われるのだと思います。
たとえば「一人当たり付加価値」といった水準で比較したらどうか。これは人件費の金額に影響されないので、人間の生産性を比較するのには有効です。(それでも売上を示す物価の影響は考えないといけませんが)
じっさいにデータがありそうなので、これを比較してみると面白いと思います。