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10月 29, 2007

Service is not free of charge(lang:ja)

カテゴリー: culture, marketing, society — hidetox @ 10:04 am

(This entry doesn’t have English version)

世の中にはピンからキリまで多種多様な価格設定のお店があるのですから、すばらしいサービスを求めてるのならば、すばらしい値段のお店に行くとよろしい。安い値段のメニューが並ぶお店で、最高級レストラン並みのサービスを要求するのは、大人として完璧な態度とは言えない気がします。
店員に偉ぶるな

偉い!

よく言った!

「サービス」について語りたがるのは結構だけど「身の程」を知って欲しいよね。

「まったく吉野家の店員ときたらサービスの質が低いったらありゃしない」とか言ってるヤツ!

低いのはサービスの質じゃなくて380円の牛丼を食ってるおまえの収入じゃね?

「サービスの質の高い牛丼」を食いたかったら叙々苑で900円で食えるから、そっちに行ってよね。→叙々苑の高級牛丼を食べてきたよ | エキサイトニュース

吉野家はギリギリの安価で牛丼を提供してるんだ。その値段に見合ったサービスかどうかを考えようぜ。

モノだけでも十分に安くて美味いのに、あの「スピード」という「価値あるサービス」がすでに付加されていることに気づくべきだ。「速い、安い、美味い」とはじつに的確。

「サービス」は「無料」じゃない

「サービス」ってのは「無料」って意味じゃないぜ。

なぜか間違って使われて普及してしまっている。非常に不幸だ。

おい、八百屋のおやじ!

「お姉ちゃんかわいいからこれサービスしとくね」って、おい、こら、「おまけ」の意味で「サービス」って言うんじゃないよ。

おい、飲食店の姉ちゃん!

「ドリンクもサービスでおつけしております」って、こら、「無料」の意味で「サービス」って言うなよ。

「サービスの価値」を知ること

(俺はあまり人の考え方にとやかく言いたくないほうなので、これは独り言であって押しつけではないと断った上で言うが)

「サービスという無形の価値に金を払う」ことを覚えるのは良いことだ。

どういう意味で「良い」かというと、「そんな自分が前より好きになれる」ことだ。

俺は「やせ我慢」しながら、それを覚えてきた。いわば「大人の品格」だと思った。

いまではパークハイアットで一杯のお茶に3千円を請求されても疑問はなく支払う。それだけの価値があると思うからだ。「思うから」というより「思うようになったから」だな。

東京生まれ東京育ちで金持ちのボンボンなら生まれたときから「サービスには価値があり、有料である」って知ってるだろうなあ。

でも俺は都会で生まれ育ったわけでもないし、裕福な家でもないから、贅沢もしてこなかった。そんな俺にとって「サービスには価値があり、有料である」ことを知るのは「学習」であり「やせ我慢」だった。

逆に言えば、そんな俺が心底「価値」を認めているのだから、「サービスの価値」は決して虚構なんかではなく、確かに存在している。と俺は思います。(そんなのは思いこみで無形の価値なんて無くて虚構に過ぎないというあなた。否定しません。あなたとは価値観が違いすぎて議論にもならない)

「無形の価値」に金を払う。それは大人の品格だ。

ひるがえって、サービスは無料ではないのだから、吉野家でサービスうんぬん言うのはナンセンスだ。それを知ってもらいたい。

サービスへのクレームのつけかた

無論、1万5千円のレストランで何か問題があったら大いにクレームを言ってよろしい。

ただし、そこでも他の客に気づかれないように給仕に指摘して対処させるのが大人の品格じゃないか?

良い意味で店にマークされる客になろう。名刺でも渡しておけば後日お礼状が届くこともある。(実際に、その店が閉店になってから「別の店に勤め始めた」という連絡をくれた人がいる)

給仕も自分と対等な人間であり、彼の面子を潰さないという配慮は当然なされるべきだろう。

給仕は奴隷ではないのだから。

We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.
The Ritz-Carlton: About Us: Gold Standards

素晴らしい思想だと思う。「給仕=奴隷」という思想から従業員(と同時に「客」)を解放しようと。

つまり “We’re not slaves.” を前向きに言ってるわけだ。

てなことを江澤メデューサは教えてくれた。

座学ではなく、一緒に食事をしたときなどに、自然に学ばせてくれる人。たたき上げで、努力人で、本物だ。いちサービスマン(ホテリエ)として「目の前のお客様」を満足させることもできるし、マネジメントとして「当ホテルにいらっしゃるお客様(全体)」を満足させることもできる、本当にすごい人。

お断り

あえて侮蔑的な表現を使った事への釈明をさせていただく。

「まったく吉野家の店員ときたらサービスの質が低いったらありゃしない」とか言ってるヤツ!

低いのはサービスの質じゃなくて380円の牛丼を食ってるおまえの収入じゃね?

俺は吉野家のファンだ。吉野家の客が低収入とか、低収入は悪いとか、そんなことを言うつもりはない。低収入も吉野家を見下してない。

正直、コストパフォーマンスの観点でいって、あんなに美味いものはそうそう無い。コンビニでは、ずっと不味い牛丼が450円で売られている。みんな知ってるように。そして「速さというサービス」の価値。「速い、安い、美味い」

あくまで「吉野家のサービスの質に文句を言う身の程知らずな客」を罵倒したいだけの表現だと断っておく。もし不快に思った人がいたらお詫びしたい。そんなわけでExcuse me.

10月 27, 2007

正義感が合理的とはいえない件

カテゴリー: Japan, society — hidetox @ 9:24 am

自分の行動に対して、相手がどう対応するかを予想して行動することを戦略的行動とよぶ。ゲーム理論は戦略的行動の理論だが、法律家にはこういう2段階の推論さえできない人が多い。この原因は、法律ではすべての段階で「正義」が「合理性」よりも優先されるためだと思われる。近視眼的な正義が、結果的には大きな社会的不正義を生んでいることに気づくべきだ。

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10月 25, 2007

Fridge Economics / 台所経済学(lang:ja)

カテゴリー: management — hidetox @ 10:00 am

かつて買った食材を使い切る前に腐らせて捨てていた。
いまは食材を料理で使い切っている。

かつて冷蔵庫には食材があふれていた。
いまは冷蔵庫に料理があふれている。

料理にもTOC(制約理論)による生産管理(manufacturing control)が必要だな。

かつてボトルネックは「料理」だった。
いまはボトルネックが「摂食」になっている。

かつて在庫は「食材」の形だった。
いまは在庫が「料理」の形になっている。

食べるペースよりも、作るペースが速くなったからだ。

もっとたくさん食べないと!!

じゃなかった。
解としては間違っていないが。
調達を減らすという解の方が妥当だ。
近所の人に配るという解もある。

ちなみに鶏ごぼう、ぶり大根、肉じゃがを冷蔵保存中。
保存用のストッカー(タッパー)が足りなくなってきた。

過剰生産による在庫コスト増加中w
在庫調整による景気の波が懸念される。

鶏肉を買いすぎたら、しばらく肉を買わなくなる現象。
これを経済学用語で「チキンの波(Chicken Cycle)」という。
あるいは「キッチン在庫の波(Kitchen Inventory Cycle)」ともいう。
綴りが似ているので、どちらでもよいというのが定説だ。

Wikipediaによると「3〜5年間隔」だそうだ。
ってどんだけー

牛肉なら吉野家も牛丼停止せずに済みそうだ。
鶏インフル怖くないな。そんな肉在庫。

てか、この調子で経済学・経営学の入門書が一冊書けるんじゃね?
さおだけより良い本が書ける気がする。俺には無理ですが。
誰か書いたらどうでしょう?

専業主婦が経営に目覚めて起業家続出とかなったら面白いぜよw

—-

それにしても土日に一週間分の弁当の総菜を作っておくと楽だなー。
ふつうに毎日自炊弁当が実践できてる。

カンバン方式(JIT)デルモデル(BTO)がすべての面で在庫を持つ方式より優れているとは限らない、というのも台所が教えてくれるわけだ。

—-

とりあえず「ドラム・バッファ・ロール」という料理を考えるところから始めてみようか。

—-

主婦が夫に携帯でメールする。

パパ、帰りがけにスーパーでネギとゴボウ買ってきてね♪

これがIT化によるSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)でなくて何だというのだろう。

10月 24, 2007

「価格」と「価値」の違い

カテゴリー: IT, society — hidetox @ 10:00 am

しかし、オープンソースソフトウェアの最近の隆盛を見ていると、このような高額な料金が果たして適正なのかという素朴な疑問も浮かび上がる。ビジネスモデルが異なるとはいえ、同じような機能や信頼性を備えたソフトウェアがオープンソースでは無償で使える場合がある。商用ソフトウェアには高額なライセンスに見合うだけの価値があるとするならば、無償のLinuxの価値とは? ソフトウェアの価値をどう考えるかは難しい。
ソフトウェアほど価格に幅のある存在はない − @IT

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10月 23, 2007

Childhood Reminder Ads

カテゴリー: marketing, web — hidetox @ 10:00 am

すばらしい。ヤマハのピアニカがブログパーツに。このブログの右側(サイドバー)に張ってみた。ここから入手できます。

ある年代以下の国民のほとんどが義務教育で吹いているはずのピアニカ。
この形、この音という原体験。
このブログパーツは、その原体験を刺激する。
強烈なブランド想起トリガーになっている。

同じような広告にLEGO(レゴ)のものがある。

LEGO ad: airplaneLEGO ad: battle tankLEGO ad: dinosaurLEGO ad: ship
from 子どもの視点を思い出させてくれるレゴの広告

LEGO outdoor ad
from 2005年のカンヌ国際広告祭アウトドア部門受賞作品

数ある「ブランド」の定義の中で、もっとも本質だと思うのが
「ブランドとはコンテキストを蓄える器」というもの。

私とレゴとの間に蓄積された「文脈」がレゴというブランドの「体験」だ。
その「文脈」を蓄える器として「レゴ」という「ブランド」が存在している。
(入れ物がなければ蓄えることが出来ない。だから「器」としての分かりやすい名前やロゴが必要)

上に紹介した広告は、その文脈を想起させる「トリガー」としての機能しか持たない。
商品説明、新商品発売など、いっさいの情報(data)を含まない。
何も売りこまないし、情報(data)を伝えようともしない広告。

ともすれば「もっとも効果のない【ブランド広告】だ」と分類されがち。
しかし、間違いなく効果があると実感する。
これを観て自分の幼い頃を思い出す人が数多くいるだろう。
そして子供にレゴを買い与える。

そんな素晴らしい広告。

10月 22, 2007

iPod touch has innovative interface

カテゴリー: IT, design — hidetox @ 10:00 am

“How can I mute in a second?”
“Pull off your earphone.”
“Wow, amazing UI.”
Apple iPod touchとAresTubeで動画三昧

「これ、咄嗟に音を止めるにはどうしたらいいんだろう?」
「イヤホン端子を引き抜けばいいじゃないですか」
「それもまた革新的なインタフェースですね」

10月 21, 2007

Web2.0 product needs good USP

カテゴリー: IT, marketing, tech, web — hidetox @ 4:58 pm

The latest communications tools — Twitter and Tumblr and so on — need you to use to understand what it is and how it works.

Once someone gives it a catchy name, it will spread quickly. It’s called USP for unique selling proposition.
Communications tool and round table (written in Japanese)

I agree with him.

The sentence “You’ll love it after using it.”
is equal to “You won’t love it before using it.”
and also “Failure in marketing.”

10月 20, 2007

XQZマイ呪詛:日本郵政は広告も腐ってるぜ (lang:ja only)

カテゴリー: Japan, marketing, society, web — hidetox @ 8:29 pm

郵便局の意識は「ふつうの庶民(オレら)」の感覚と遠く離れている。
あなたの近くにある会社‐日本郵政
近くない。10万光年くらい遠い。

このサイトに限らず日本郵政グループの広告戦略・コミュニケーション戦略には、じつに一貫性がある。なんていうか、日本郵政の考え方(姿勢・パラダイム・物事のとらえ方・世界の見方、そういったもの)がそのまんま出てる。そして、その考え方そのものがダメ。ダメすぎる。ダメなものを一貫して展開しているのがすごい。すごすぎて呆れる。

まずはテレビCMでも連呼してるこれ。虫ずが走る。

来なければいけない場所から
来たくなる場所にしたいと思う。
4つの事業会社が目指すこと‐ひとりを愛せる日本へ。‐日本郵政グループ

アホか?
いまだに「用のある客は自分の足で来い」って発想。臆面もなく「来たくなる場所にしたい」だ? ほんとにアホだな。いっぺん××××××。おまえら郵政の奴らには「わざわざご足労頂き申し訳ございません」という発想はねえのか?(ねえだろうな)どうしようもねえな。ヤマトの集荷を見習え。もう郵便いらないから信書法改正してヤマトを参入させてくれよ。たのむよ政治家。郵政民営化より優先して欲しかったぜ。

あなたの近くにある会社‐日本郵政

このコンテンツも然り。こんな長ったらしいものを人の時間を割いて見せつけるのが郵政クオリティ。
「どうでしょ? すてきでしょ? 郵便局のこと好きになるでしょ?」
なんねーよ。バカが。一方的な「インフォメーション」だ。「上意下達」だ。郵政の奴らには「コミュニケーション」の発想がねえんだよな。さっき言った「来たくなる場所にしたい」と同じ発想だ。「上意下達」ってのは「お上」の発想なんだよ。「偉ぶってるお役人」の発想なんだよ。誰が何十分も時間を割いて、こんなくだらないものを見せつけられて、喜ぶんだ?

アホなのは誰だよ。広告屋か? 日本郵政か? 両方か? おまえらいっぺん×××××。

まじムカついた。こんなにムカつく「ブランド広告」は滅多にないな。ある意味で貴重だ。

See also: Doubt corporatizing Japan Post

Another aspect: エキサイト ウェブアド タイムス 民営化した日本郵政のプロモーションサイト

いや、すいませんね、汚くののしって。この記事みたいなポジティブな見方もできるんですよ。ええ、否定しませんよ。

でもね、これは広告を「作品」と観る視点ですね。オレはそういう風にレイヤーで輪切りにしてひとつだけ取り出して論じる気にならないですね。

今回のサイトを見て、日本郵政グループそのものが腐ってるのを再確認した思いだった。どこを切っても腐った考えが隠れている。だから、あえてネガティブな面だけを書いた。先入観の偏見だ? そうかもしれん。ポジティブな意見がお好みなら「ウェブアドタイムズ」の記事を読んでくれ。あの内容にも同意できる。(繰り返しになるが「作品」として見るならば、という限定された意味において褒める箇所は、まあ、ある)

オレはたいていのトピックについて、つねに両面から考えているというバランス感覚には自信があるよ。このブログを観てもらえばわかると思う。そのときDISられてるものを、あえて褒めちぎったりしている。自分のブログを読んでくれる人にはバランスをとってもらいたいから、あえて世論と逆を言ったりするよ(自分の思想と関係なくね。まさに上で紹介した郵政民営化反対論とかだ)。

でも郵政省だけは死んでも好きにならないね。社保庁もだけど。
「腐った公僕」ほど許せないものはない。
税金を払うのがどれだけ大変か。オレはサラリーマンじゃないから税の重みを知ってるよ。身にしみて「血税」だと思ってる。それを、定年まで身分を保障された公務員が、熱心に働きもせずに。。。絶対に許せん。公僕ってのは社会の最下層にいろ。生活保障うけて税金払ってないような(義務も果たさずに公共サービスを享受する人)に対してさえ、より低い位置から物を言ってくれ、と思う。それが公僕ってもんだ。公(おおやけ)に仕(つか)える僕(しもべ)だろうが。

税金ってのは、それくらいの重みがある。俺はそう思ってる。

オレはこれからもふざけた役人、体制にあぐらをかく既得権益者を糾弾し続けます。
しかし、良い仕事してたら褒めますよ。たとえそれが郵便局員でも社保庁員でもね。
だから頑張ってくれ>役人

Hatsune Miku – Prosumer Era?

カテゴリー: IT, Japan, culture, marketing, web — hidetox @ 1:59 pm

[Japanese version below / 日本語版は下に]

It’s Prosumer that the border between a producer and a consumer is ambigous. Prosumers are everywhere for sure.

Prosumer concept can explain a lot of recent topics especially on the web. But I don’t think anyone is a prosumer.

Prosumers are mostly seen in geek areas. Because:

people are generally uninterested in going to the effort of customizing the myriad products that comprise modern consumer culture … one key area of high-customization is taking place: highly involved hobbyists.
Prosumer – Wikipedia

BTW, have you noticed Hatsune Miku? She is a virtual/robotic idol. She is involving massive hobbyists.

* You can read “Hasune Miku” like “Hats name Mic” (hats – ne – mik).

Hatsune Miku is a PC software that creates natural vocal sound, a kind of software synthesizer using genuine human voice (formant).

* Refer: Customizable Robotic Idol Hatsune Miku

We can see thoudunds of Hatsune Miku movies. Even Hatsune Miku had shipped only a month ago.

I want to tell you more surprising story. They share their works.

When they create Hatsune Miku sounds and movies, they upload their source files at the same time. So anyone can use it, revise it, upload it. This lets Hatsune Miku evolves unbelievably fast.

Tips: If you want to watch more Hatsune Miku movies, search it in YouTube, Nico Nico Douga. You can try the search keyword “Hatsune Miku” and “初音ミク”

Up-to-date Hatsune Miku movies are commonly uploaded on the social video service, Nico Nico Douga. I already introduced it on the article.

プロシューマー

[English version above / 英語版は上に]

作り手と受け手の敷居が曖昧になった状態をProsumerという。すべての領域において起こる現象ではない。定義から言って「オタクの内輪受け」の場合が多い。Wikipediaを読んでみよう。

今日的生活を満足させる数多の消費財をみずからカスタマイズすることに対して一般人は興味を持ちにくい。 … 高度なカスタム化が起こっている主要なエリア、それは趣味(ホビー)に関するマニア/オタク達だ。(highly involved hobbyists)
via Prosumer – Wikipedia ※Wikipedia英語版を翻訳した

関連記事:初音ミク現象とハッカー経済学 (lang:ja only)

10月 18, 2007

The New Rules Of Technology VC (translated into Japanese)

カテゴリー: IT, tech, venture, web — hidetox @ 6:04 am

Read/Write Webの “The New Rules Of Technology VC” という記事を翻訳した。

ハイテクVCの新たなルール

Alex Iskold著 / 2007年10月4日

ほんの数年前まで、大手VCは企業を数ヶ月かけて創業支援(incubation)していた。この期間中、創業者は市場性、実行計画、5年分の財務計画などを含む70ページ以上の事業計画書を書く。この計画書はアイデアが「地に足がついた」ものであり、うまくいくであろうことを確認するための「証拠 (proof)」として用いられる。

しかし、もはやこんな方法ではダメだ。数ヶ月間も「ステルス・モード」でいるなんて無理。5年先までの計画というのも非現実的。ハイテク会社が市場で生き残る唯一の方法は「進化し続けること」だ。

会社を作る方法が変化を迫られるならば、創業資金の調達方法も変わるべきだろう。ハイテクVCの新しいルールは? どこに対して、どのように資金が提供されるべきか? この記事で考察していく。

かつてVCが成功してきた手法

かつてはスタートアップ(創業時の企業)が資金調達する道筋は分かりやすかった。創業者が事業計画書を書く。一般的に、成功するチャンス、市場の分析、競合、事業内容、実行計画、人材計画、5年分の財務計画などから成る、長ったらしい文書だ。この事業計画書を携えて、コネをつかってたどり着いたVCのドアを叩く。

もしすべてが上手くいけば、VCのパートナー(共同経営者)にプレゼンする機会が得られる。大手VCは事業計画の妥当性のチェックに時間をかける。色々な角度からの指摘を得るために、社外のコンサル −すでに資金調達した起業家など- に計画を見てもらったり。これで承認が下りれば、VCは(一般的に500万ドル以上の)シリーズAファイナンスを実行し、いざプロジェクト開始となる。

その後、技術開発が進み、将来の展望も開けてくれば、ほかのVCも巻き込んで(1000万ドル以上の)シリーズBファイナンスが手配される。一般的にシリーズ Bでは技術からビジネス(事業)へと焦点を移し、場合によってはCEOが変わることもある(あるいは営業部隊も)。

創業からここまでに、数年の期間と莫大な資金を要する。

何がルールを変えたか

ハイテク投資にパラダイム・シフト(競争のルールが変わること)が起こった主な要因は2つ:起業のコストが劇的に下がったこと。人々が「技術」を市場に引きずり出したがるようになってきたこと。(例:技術を試す、採用する、支持するなど)

むかしはハイテク技術が日の目を見るまでに100万ドルは必要だった。しかし最近では10万ドルで済んでしまう。ハードウェアは安くなったし、Webのインフラもあるし(Amazon Web Serviceなど)、ソフトウェア・ライブラリも選び放題で、新しいソフトウェアを作るのは劇的に簡単になった。重要なのはアイデアだ。(むかしはインフラが重要だったわけだが)

ソーシャル・ウェブの時代になって、我々が新しいツールやサービスに飛びつき、のめり込むまで時間が短くなった。我々は新しい技術を受け入れやすくなった。「テクノロジー恐怖症」が直った人もいる。みんながソフトウェアを「イライラするもの」じゃなくて、楽しくて「便利」なものだと認識するようになった。「モノを作れば、ユーザは勝手にやってくるさ」という言葉はマーケ思考のない技術屋を揶揄するジョークだったが、一転して、現実となった。

ハイテク・スタートアップが軌道に乗るために必要な最低水準が劇的に下がったならば、昔ながらの資金調達アプローチは無意味になってくる。かつて一流VCは40%以上の株式シェア、500万ドル以上の投資額でシリーズAファイナンスを実行していた。今日、一般的なシリーズAファイナンスは、15〜25%のシェアに対して100〜200万ドル程度の規模になっている。スタートアップ投資の規模が小さくなっていくなか、大手VCが投資ラウンドに参加するのが難しくなっている。より小さな規模のVCにとっては、チャンスが開けてきたといえる。

巨大VC vs. 中小VC

巨大VCのファンドは数億ドルもある。さらに数十億ドルの資金が管理下にある。よって、限られた資源は「お金」ではない。個々の投資案件が個別の契約であることから、彼らにとってもっとも貴重な資源は「時間」だ。

そういう巨大VCにとって、小さな会社にたくさん投資するのは無理だ。時間コストがかかりすぎる。巨大VCは、その構造から言って、「そもそも、そういうふうには、出来ていない」といえる。そのかわり、あらゆる事を丹念に調査して、最良の案件を見つけて多額の投資をする、という方法には向いている。

このやり方で結果を出すためには、投資先企業の20%以上のシェアを持たなければならない。

小規模なファンドには、この手の問題(ハードル)はない。迅速かつ柔軟に、少額の投資機会も見つけて実行する。「シェアを20%以上持つ」という必要もない。Union Square Venturesのmanaging partnerであるFred Wilsonは、「投資先の20%を保有する必要があるというルールは、もはや正しくない」と彼のブログで説明している

これから何が起こるか?

もうすでにこういった変化に気づいている人たちがいる。例えば:

  • Y Combinator は1〜2万ドルという少額の創業資金提供でハイテク企業を次々と立ち上げている
  • Charles River Ventures は「クイック起業プログラム」を開始した
  • Jeff Clavier は1200万ドルのハイテク・スタートアップ向けファンドを立ち上げた

ここで述べた考えのすべてが正しいとは限らない。しかし、確かな裏付けとなる兆候も現れてきた。新しい競争に参加するために、大手VCはやり方を変える必要があるだろう。少額で小さな資金調達ラウンドに参加する、というのは有効な選択肢だろう。しかし、問題は「それでスケールするの?」ということだ。VCのパートナー(共同経営者)の「時間」が限られている限り、その答えは「ノー」だろう。
※注:「スケールするの?」=「同じやり方で規模を拡大していくことはできるの?」という意味。冒頭で述べたように、大手VCのパートナーの人数も、時間も、限られた資源だ。

いまハイテクVCでは面白い動きが起こってきている。まえのバブルが弾けて以来、IPOはぐっと減った。最近になってやっと何社か上場したが、全体的には、とてもじゃないが良い環境とは言えないだろう。大きなイグジット(投資の回収;上場や事業売却など)も極めてまれになっている。YouTubeとMySpaceは例外だ。

さて、これらすべてを考慮すると、大手VCの資金はハイテク分野から去り、移動していくという結論が導き出される。とくに、こういうことが起こるだろう:

  • たくさんの小さなファンドが出てきて成功する。
  • 大手VCがシリーズBに焦点を合わせて投資していく。スタートアップより不利な条件での投資。
  • 大手VCはハイテク・セクターに手を抜き、代替エネルギーやヘルスケアなどのセクターに重点を移す。

結論

投資市場は絶え間なくワクワクさせてくれる。もし数年前に大手VCがハイテク市場で深刻な危機に直面するだろうとか言ったらバカにされただろう。しかし、それは現実となった。この変化によって、大手VCの資金がハイテク・セクターから逃避すると同時に、「小規模ハイテク・ファンド」という新しいカテゴリーが生まれた。

多額の資金が投資されないからといって、多額の利益を生み出すことが不可能になったわけではない。以前よりも少額の投資で成長・成功できるようになったのだ。del.icio.us、Flickr、 StumbleUponなどを見よ。ただし、リターンの倍率が同じだとしても、規模は変わってくる。100万ドルの10倍と、1000万ドルの10倍は比べものにならない。そして、このことがVCのビジネスを根本から変えてしまう。

結局のところ、こういう変化の時期を経て、最終的に得をするのは消費者だろう。より小さなファンドが、より小さな投資をすることによって、よりたくさんの会社ができ、とてつもない競争が生まれ、その中からとんでもなく素晴らしいプロダクトが生まれてくる。変化、絶え間なきイノベーション、技術革新があるということだ。

ディスクロージャー:著者Alex Iskold’sのAdaptiveBlue社は文中にも登場するUnion Square Venturesの投資を受けている。

※訳者より
この人の文章は流れが悪い。Aだ。しかしBだ。しかしCだ。「しかし」「しかし」が多い。ようするに読みにくい。

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